全世代型社会保障制度の実現に向けた提言
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に、より包括的にすべきである。さらには投資家に最⼤限効率的で透明性のある体験が提供されるように、すべての個⼈投資オプションを課税・⾮課税に関わらず評価の対象とし、投資家が⾃らの投資判断を最適化し、可能な限り多くの投資収益を得ることを可能にすべきである。提⾔5 ⽇本の皆保険制度を維持するために、負担能⼒に応じた適切な⾃⼰負担のあり⽅を決定するとともに、⾮課税貯蓄などの新しいオプションを提供することで必要な財源を確保する⽇本の公的債務残⾼(対GDP)は200%を超えており、財政も社会保障関係費も極めて厳しい状況にある。その⼀⽅で、⽣活保護の受給者数は1995年の88万⼈を底に、2017年には214万⼈にまで増加しており、特に⾼齢世代での貧困化が急速に進⾏している。効率的かつ効果的な再分配を⾏うためには、市場メカニズム(私的貯蓄の拡充を含む)を利⽤し、富裕層への財政的⽀援を若⼲縮⼩させながら、本当に困っている⼈々に集中投下するべきだが、それができていない。医療費や介護費の⾃⼰負担増の⼀部を私的貯蓄で相殺しようとしても、⽇本には海外にあるような医療貯蓄⼝座制度が存在せず、対応可能な税制上の措置もない。負担能⼒に応じた利⽤者負担という観点から、マイナンバー制度なども利⽤しつつ、個⼈の所得や資産に応じた適切な⾃⼰負担(窓⼝負担や税制上の措置など)のあり⽅を決める⽅策を検討する。上記に対応するため、負担能⼒の⾼い世帯については、⾼額療養費制度や保険外併⽤療養費制度や「現役並み所得」の⽔準の⾒直しを⾏い、財源捻出を検討する。その際、私的貯蓄の拡充(例:iDeCoやNISA)を⾏い、海外の医療貯蓄⼝座制度も参考にしながら、当該医療費や介護費の⾃⼰負担増の⼀部を相殺する仕組み(税制上の措置を含む)の検討も⾏う。ACTION 2 |ページ | 09提⾔6 医療費⽀出全体をより俯瞰的に分析・最適化することにより、ヘルスケアイノベーション促進の機会を創出する 診療報酬や医療技術、その他の保健医療サービスが新しく国⺠健康保険制度に追加された後は、その妥当性があらためて徹底的に⾒直される機会は、現在はほとんどない。患者ケアを継続的に発展させていくためには、あらゆる医療費⽀出の総合的価値と有効性をしっかり評価し、前時代的な治療法や医療サービスが積極的に刷新されるような市場環境を作り出していく必要がある。現状の問題点⽬指すべき⽅向性

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