全世代型社会保障制度の実現に向けた提言
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背景画像認識技術やセンシング技術、さらには機械学習の⽬覚ましい発展により、AIをはじめとする新しい技術は著しい進化を遂げている。我々の多⾯的な現実をデジタル・データとして活⽤できる時代がついにやってきたのだ。これまで、データ収集と分析といえば当然タイムラグが⽣じるものであったが、最新のテクノロジーにより、リアルタイムで現状を把握することが可能となっている。これらのデジタル・データは、政府の制度設計やその運⽤にとってだけでなく、産業界においても⾮常に有⽤で、実態を正しく把握し、将来の⾒通しを⽴てることで、社会を豊かにし、経済を活発にし、新たな産業の創出に活⽤されることが期待されている。 しかし、デジタル・データの取り扱いについては、常にプライバシーの問題がついてまわる。個⼈の権利を尊重することは現代社会の共通理解となっているが、データ利⽤においても⼀⼈ひとりの尊厳が尊重されるべきなのは同様である。欧州ではすでにGDPRという枠組みが運⽤されているが、こうした個⼈情報保護に関する適切なルールがさらに多くの国々で共有されていくことはきわめて重要である。 ⽇本には⼤量のデジタル・データが存在するが、事前に本⼈の同意を得ていないことが多いために、データを利活⽤することが不可能となっている。政府が保有するデータもまた、個⼈の尊厳を考えると、実際にはそのまま使⽤することは難しい。データ・テクノロジーの積極的活⽤ACTION 1 |ページ|03ACTION 1医療情報データを医療の質向上に活⽤するための環境整備度データガバナンス整備度技術・運⽤上の整備度低⾼低⾼医療ITに関する経済協⼒開発機構(OECD)の報告書では、データガバナンスおよび技術・実⽤性の両⽅で、⽇本は調査対象27カ国中最低と評価されている現状がある。出所)OECD(2016).ManagingNewTechnologiesinHealthcare.

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