第193回研究朝食会

●日時 2018年12月4日(火)午前7:45~10:00
●会場 ホテルオークラ東京 別館2階 (メイプルルーム)
●テーマ 「全世代型社会保障と財政を考える」

●スピーカー
慶應義塾大学 経済学部 教授 土居 丈朗

●コメンテーター
新時代戦略研究所 理事長 梅田一郎

 財政制度等審議会は、2019年度予算編成で焦点となる社会保障費の抑制をめぐる議論を始めた。
「全世代型社会保障」の構築を掲げる安倍晋三首相の今後3年の任期中、政権は、初年に高齢者が働きやすい環境を整え、残り2年程度で抜本改革を進める段取りとしている。財務省が主張する痛みを伴う給付や負担の見直しは、2019年夏の参議院選挙の後に先送りされる公算が大きい。

 10月に行われた未来投資会議では、継続雇用年齢65歳以上への引き上げなど高齢者が働きやすい環境の整備や中途採用の拡大策に力点が置かれた。働ける高齢者は年金や医療を支える側に回ってもらい、支え手を増やす狙いだ。保険給付の効率化についても、病気にかかれば、まずは、かかりつけ医を受診するように促す。紹介状なしで大病院を受診する患者には定額負担を求めるという措置について、対象となる病院をどこまで広げるかが焦点となる。

 そして薬価。社会保障費の自然増を5000億円に抑制し、その財源を薬価から捻出するという報道が出ている。薬価は「叩けば財源が出る」という打ち出の小槌のように考えられているが、すでに薬価制度改革がなされ、薬価を下げる仕組みは十分できている。今後も薬価引き下げが続けば、薬品の研究開発に影響が出てしまい、革新的な新薬が生まれる可能性が低くなってしまう。また新薬の日本への導入が遅れ、再びドラッグラグが起きる事態となりかねない。医療費の中で医薬品が占める割合は約25%であり、残りの75%に全く無駄はないのかを、検証する必要がある。

 12月のINES研究朝食会では、財政制度等審議会の委員である慶應義塾大学経済学部教授の土居丈朗先生をお招きし、今後の社会保障制度と財政の未来像について議論する。

一般社団法人 新時代戦略研究所(INES)代表取締役 朝井 淳太
(Tel 03-6225-0016 / Fax 03-6225-0174)
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