全世代型社会保障制度の実現に向けた提言
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提⾔提⾔1市⺠社会の利益向上のために情報利⽤権の導⼊推進す  このような課題を解決していくため、新たなテクノロジーや「情報利⽤権」といった法的概念について、早急に検討を始める必要がある。また、過去の成功例を参考にし、個⼈やプラットフォーム事業者の協⼒も得ながら、社会の全体像が市⺠社会や個々⼈にも⾒えやすくなるような取組みを積極的に進めていく必要がある。さらには、ユーザーは⾃分⾃⾝のデータの所有権を可能な限り与えられるべきで、例えば医療分野なら、⾃らのデータにユーザー⾃⾝がアクセスできるプラットフォームがあれば、産学による⼤規模な医学研究をも可能にするような新たな合意システムをつくることにもつながる。提⾔1 市⺠社会の利益向上のために情報利⽤権の導⼊推進す⽇本には⼤量のデジタル・データが存在するが、事前に本⼈の同意を得ていないことが多いために、データを利活⽤することが不可能となっている。政府が保有するデータもまた、個⼈の尊厳と権利を考えると、実際にはそのまま使⽤することは難しい。個々に分断されているデータベースを統合することにより、データの集合的な分析スコープを広げ、その有⽤性を⾼めることが可能になる。しかし、個⼈が⽣を受けてから亡くなるまでの様々な出来事を統合的に把握できるようなプラットフォームの整備ができていないだけでなく、診療や介護データに健診データを接合させることすら実現していないのが現状である。この理由の⼀つは、データを移転しても企業にメリットがないという理由でデータを⽣成する企業の多くが欧州(EU)型の「データポータビリティー権」に否定的であることである。これを解消するためには、データ移転により個⼈が得る報酬の⼀部(例:数パーセント)をそのパーソナルデータを⽣成した企業にも還元する仕組みが必要である。プライバシーにも配慮しながら、新たなテクノロジーや「情報利⽤権」といった法的概念の整理を早急に⾏うべきである。※「情報利⽤権」とは、欧州(EU)の「データポータビリティー権」に近い概念だが、データ移転により個⼈が得る報酬の⼀部を、パーソナルデータを⽣成した企業が還元することを義務づける点などが異なる。現状の問題点⽬指すべき⽅向性| ACTION 1ページ|04提⾔2既存のデタベやシテム相互運⽤可能な包括的なデタムに統合し、利⽤可能なデタの有⽤性⾼め  個々に分断されているデータベースを統合することにより、データの集合的な分析スコープを広げ、データの有⽤性を⾼めることができる。診療や介護データに健診データを接合するプラットフォームを構築するだけでなく、個⼈が⽣を受けてから亡くなるまでの様々な出来事を統合的に把握できるようなプラットフォームの整備が必要である。また、そのプラットフォームは組織の壁を越えて稼働できなければならず、統合されたデータソースは安全かつ⻑期的に運⽤できるようにクラウドインフラに移⾏されている必要がある。

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