提⾔4社会的弱者の医療アクセス向上のため、遠隔医療、バーチャル診療、デジタルセラピューティクスの役割を拡⼤するプログラムを⽀援する 新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、社会的弱者の医療アクセスを確保することの難しさがあらためて浮き彫りとなった。ハイリスクな基礎疾患のある⼈々や都市から離れて住む⼈々は、必要な診察や救急医療を受けられなかったり、直接診療を受ける場合には感染の危険に晒されたりした。⽇本政府はこの間、遠隔医療を後押しする対策を賢明にもとったが、患者の福利⽀援のためには、新型コロナウイルス感染症終息後もこれを継続していくことがきわめて重要である。また、そのメリットを最⼤化するためにも、遠隔医療とデジタル処⽅箋を同時に⽀援し、薬局は⼤事な医薬品を直接患者の⾃宅に届けられるようにしつつ、分娩ケアにおけるデジタル技術の活⽤も拡⼤させていくことが重要となる。こうした対策は、今後も⾼齢者⽀援の⼀助となるとともに、患者のトリアージュ、スクリーニング検査とフォローアップ、患者体験のカスタマイズ、また医師による患者のモニタリングや患者とのコミュニケーション⽅法の改善等の新たなアプローチをも可能にすることができる。提⾔3広範な官⺠パートナーシップにより、医薬品や医療機器のエビデンス強化に必要なデータ収集をするためのインフラを構築し、社会的弱者の利益にもなるようなデータ収集を推進する デジタル・データはマクロを⾒るためだけのものではない。全体を俯瞰的に⾒ていたのでは特定しにくい個⼈のニーズを抽出し、社会的弱者を救済するためにも積極的に使われるべきものである。その意味でも、データの所在、収集⽅法、安全な保管⽅法、およびその価値を適切に評価するための専⾨性をもつ事業者、政府、市⺠社会、患者(例えば、終末期医療の患者⽀援においては、患者団体や当事者団体等)や関連団体などの相互連携は⽋かすことができない。その際、各地域や分散的なスケールのデータを蓄積するために必要な情報インフラについては、個別の団体や国家機関にも等しくアクセスを確保することが重要となる。 数多くの医療分野が、そのような取組みからの恩恵を受けることになるだろう。医薬品と医療機器に関する全国データによって、いっそう厳密な検証と適切な効能の評価が促進され、重⼤な医療ニーズや、限定的な臨床上の有益性がない技術や、真に⾼い⽔準のニーズがある技術の特定が容易になる。⼀次および⼆次的な医療データと、ゲノミクスやウェアラブル、そして毎⽇の活動記録からのデータといった新しいデータソースとをリンクさせることで、病気の進⾏、蔓延、疫学、およびスクリーニング検査について理解するための新しいアプローチが実現するのである。| ACTION 1ページ | 06ビッグデータ・ファンドの新しい投資⽅法不動産では「不動産リート」や不動産証券化などの「集団投資スキーム」があるが、それを可能とする法改正が不動産開発の起爆剤となったことは有名である。これと同様に、ビッグデータ・IoT・⼈⼯知能から派⽣する権利についても、「集団投資スキーム」を構築することは可能である。
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