背景将来的な社会保障関係費の適正化、特に今後拡⼤が予想される医療費を適正化していくことは、最も優先すべき政策課題の⼀つである。⽇本の公的医療保険制度の優れた点を後世に確実に引き継ぐためにも、健康寿命をのばす新技術を発展させるためのインセンティブを提供しつつ、将来的な⼈⼝動態に対応できる医療提供体制の再構築とそれを賄う適切な負担と財源のあり⽅に関する再検討が不可⽋である。提⾔提⾔5⽇本の皆保険制度維持するめ負担能⼒応じ適切な⾃⼰負担の⽅決定するととも⾮課税貯蓄なの新しいオプション提供すると必要な財源確保する すでに政府は、医療における75歳以上の窓⼝負担の⾒直しを検討しているが、本当に困っている世帯への集中的な⽀援を⾏いつつ、⾼額療養費制度や保険外併⽤療養費制度の⾒直しも検討していく必要がある。また、年齢別の⾃⼰負担制度を改め、所得・資産の状況に応じた⾃⼰負担制度の導⼊も検討しなければならない。 こうして⽇本の医療制度の根幹である公的保険制度を強化するとともに、補完的に私的貯蓄(例:iDecoやNISA)や⺠間保険の拡充(⾦額の上限の引き上げ)も併せて⾏い、医療費や介護費の⾃⼰負担増の⼀部を相殺する仕組みの検討も⾏うべきである。 負担能⼒に応じた⾃⼰負担のあり⽅を決定するからには、個⼈の負担能⼒が向上するように個⼈の投資収益を向上させるための環境整備をひとつの優先事項にすべきである。例えば⾮課税の投資機会を増やしたり、個⼈投資家の投資環境全体を改善したりといった⽅法で、投資による個⼈資産形成を促すことは可能である。⽇本政府は、確定拠出年⾦制度の上限額を引き上げたり、補給制度に加えてマッチング制度を可能にしたりすることも検討すべきである。また、確定拠出年⾦制度のデフォルトの投資オプションは投資を促進するよう設計したり、少額投資⾮課税制度は幅広い投資オプションと⻑期的な⽬標設定が可能になるよう健康や退職後のニーズへの財源シフトページ | 08| ACTION 2ACTION 2過去5年の薬価改定による歳出抑制額は5,096億円で、社会保障関係費の抑制総額の75%に及んだ。より俯瞰的な視点からの対策が必要である。「集中改⾰期間」中の社会保障関係費出典)厚⽣労働省ホームページ
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