提⾔7 全世代を対象にヘルスリテラシーと⾦融リテラシーの向上、⽇本の公的保険制度の理解を⽬的とした各種取組みを拡⼤する個⼈がリスクの度合いに応じた⾃助・共助・公助の組合わせや社会全体の受益と負担の構造をきちんと理解しておらず、⾃らの⾏動が社会全体に影響を及ぼす可能性があることを想像できていない。健康であることは、本⼈にとってはもちろんのこと、社会全体にとっての負担を⼩さくすることを理解した上で市⺠は⾏動できなければならず、そのためにも、市⺠は⾃⾝の健康維持と社会全体の利益のために⾏動する必要がある。医療や介護などの公的保険で賄われるサービスには、受益者が負担するよりもはるかに多くが公的保険で⽀払われており、それが安定的かつ持続的に可能であるためには、公的資⾦だけではなく所得や資産に応じた応分負担が不可⽋であることを深く理解する機会が少ない。初等教育、中等教育、⽣涯教育の各場⾯において、ヘルスリテラシーを向上させるための具体的な取組みを展開すべきである。例えば、病気やケガによって⾃らにかかるリスクの⼤きさ、平常時に公的医療保険を通じて⾃らが負担しているコストと病気やケガをしたときに社会から⽀援されるコストのバランス、その年代や負担能⼒による変化、さらには、諸外国の制度を踏まえた⽇本のメリットや課題などにつき、深く学ぶ機会を増やすべきである。⽇本政府は、⾦融業界が⽇本の個⼈預⾦者と個⼈投資家の⾦融リテラシー向上のための教育プログラムを展開するように働きかけるとともに、⾦融業界との連携を⼀層強化するべきである。また、⾦融リテラシー向上のために、⼤学やその他機関との連携も強化すべきである。現状の問題点⽬指すべき⽅向性 また、⽇本国⺠のマインドセットを貯蓄志向から投資志向に転換するよう促すには、⾦融リテラシーの向上が必要である。⽇本政府は、⾦融業界が⽇本の個⼈預⾦者と個⼈投資家の⾦融リテラシー向上のための教育プログラムを展開するように働きかけるとともに、⾦融業界との連携を⼀層強化するべきである。ページ | 11| ACTION 3こうした状況が今後も続けば、市⺠社会を⽀える国⺠皆保険制度を維持することは不可能となり、将来世代にとって取り返しのつかない選択となることについても、個々⼈が理解する必要がある。
元のページ ../index.html#18